指定席…。

僕の指定席からは
全部が見えていた。
 
リビング、キッチン
寝室、後ろのけぞれば廊下。
リビングのベランダ
寝室のベランダ
キッチンの出窓にあるレンジ類
リビングの出窓にある小物
君の横顔、目線。
 
あの指定席は、特別に見える場所だった。
 
リビングと寝室の真ん中。
 
僕は常にそこにいた。
 
君が布団に入り、振り向けば寝ている姿、動作、寝息、寝言。
 
あの指定席は全部が見えて、全部が聞こえていた
 
よく見える場所だった
そんだけ
辛すぎた、良いも悪いも。
 
全て忘れたい。
全て無くしたい。
記憶から無くしたい!
 
未だに、この、僕の部屋には
あの部屋のものばかりある!
 
あの部屋、ガス手続き
水道、電気、JCOM
荷入れ、荷出し
全部全部!
 
あの部屋のものばかり。
指定席から見る荷物ばかりだ!
 
指定席から見る
安心が不安になり…
 
全て忘れたいよ…
 
君を辛い思いさせたこと
 
辛い。
全て忘れたい。何もかも。
自分の事も忘れたい…
 
 
辛いよ…