最後のデート…赤紙を持った青年
これは職場の入居者から聞いた話です。
今日が戦後65年と言う事で、聞いた限りの切なくて淡い恋のお話…。
※認知症をわずれっている方の話なので記憶にあいまいが有るかと思いますが、本人談として書かせて頂きます。
人物名は架空です。
私の職場の内情を知っている方が読まれていたら…分かるかと思いますが(笑)
今から66年前の事。
北海道札幌市に財閥で生まれ育った美子は19歳。
女学校に通っていたと言う。(本人談)
当時、お家柄、お見合いをしていて、お付き合いをしていた方がいた。
女学校を卒業したら式を上げる事も決まっていた。
戦時中の最中、商売をしていた家を彼は手伝いながら暮らしていたと言う。
終戦前の5月…
何時もの様に、今で言うデートを終え、自宅まで送り届けてくれた彼。
とても素敵な笑顔だった。
もう直ぐで式を挙げるんだわ…
そんな気持ちで毎日が嬉しかった美子。
しかし、翌朝…
昨日デートをしたばかりの彼が家まで来ている。
彼の顔は昨日とは打って変わり、暗く青ざめて見える。
そして、その手には赤紙
赤紙を受け取り、直ぐに美子の所へ来たと言う。
彼は美子にこう言ったそうです
「美子さん、帰って来たら直ぐに式を挙げましょう!」
そう言って、美子の家を後にしたそうです。
彼が徴兵されたのは、その翌日…。
その3ヵ月後に終戦。
彼からの手紙のやり取りを、終戦近くまでしていたそうです。
当然、美子は彼が戻ってくるものだと思っていた。
しかし…
8月15日の終戦当日に美子の下に一通の手紙が…。
タケシ死ス…
その手紙と一緒に美子と写っている写真が入っていた。
タケシが無くなる直前に美子に宛てた文字が書かれてた。
美子…愛している
2010.8月…
美子は今も独身。
85歳と歳を取ってしまった。
たまに私との会話の中で結婚の話をする事が有る。
美子さんはタケシさんが亡くなった後、結婚も考えた方もいたそうだけど、結婚まで踏み切る事は無かったと…。
「私は一生独身で良いのよ」といつも笑顔で私に話して下さる。
「でも、あなたは結婚をしなさいね」って。
そんな美子は今は、ちょっとミーハーな面が(笑)
スマップの中居君の大ファン(=^・^=)
居室には中居君のポスターが所狭しと貼られています。
元気な頃は、コンサートにも行ったみたいです。